始動!神奈川県立音楽堂 2021-2022年ラインナップ

神奈川県立音楽堂

感動を分かち合い、創造に挑み、未来につなぐ

 2021年春、神奈川県立音楽堂は、感動を分かち合い、未来を拓く創造力が発揮される場所となるべく、意欲的な企画を始動します。


始動1:「音楽堂ヘリテージ・コンサート」

 本誌前号でご紹介した今春スタートの「音楽堂ヘリテージ・コンサート」シリーズ。

 音楽史に名を残す音楽家たちの名演と感動の記憶を音楽堂に刻むべく組まれた5公演は、人類の至宝(ヘリテージ)にふさわしいピアニストとアンサンブル――プレトニョフ、オピッツ、アンサンブル・アンテルコンタンポラン(横浜初登場!)、プラハ・フィルハーモニアイ・ムジチ合奏団――です。シリーズを手軽にお楽しみいただくためリーズナブルな三つのセット券(年間・ピアノ・アンサンブル)をご用意しました。また音楽堂主催の2公演では、24歳以下(U24)の方はS席が半額、高校生以下は無料! で鑑賞(S・A席)いただけます。世界遺産をめぐるツアーのように音楽遺産を旅する1年をお過ごしください。

※感染症拡大の影響で一部公演が中止になり、当初発表より公演数が減っております。(3/4現在)。詳細は本シリーズ特設サイトをご覧ください。


始動2:室内オペラ・プロジェクト
「シャルリー~茶色の朝」

 バロックから現代まで多彩な室内オペラが話題を呼ぶ本プロジェクトは、「シャルリー~茶色の朝」の日本初演です(原作詳細は本誌前号掲載)。声(ソプラノ)と5楽器(ヴァイオリン・チェロ・クラリネット・ピアノ・打楽器)とコンパクトな編成の1幕物の本オペラの作曲は、ブルーノ・ジネ(1960生)。ヘリテージ・コンサートに出演する世界屈指の現代音楽アンサンブル「アンテルコンタンポラン」が本年6月に委嘱新作初演を予定するなどフランスを代表する作曲家の一人です。彼はまた、ナチス政権下で迫害された音楽家たちや、ワイマール共和国時代の音楽を再評価する著作などを発表してきた著述家でもあります。

 平凡で静かな市民の日常が全体主義に巻き込まれ自由を剥奪されていく恐怖を綴るパブロフの寓話的短編小説に対して作曲家は、ワイマール共和国時代に大流行した「時事オペラ」(クルト・ヴァイル『三文オペラ』に代表される英雄譚ではない市民の日常を描いたオペラ)を彷彿とさせるキャバレー・ソングやジャズなど多様な音楽スタイルをちりばめ、器楽奏者たちには言葉を発させるなど、秀逸なアイディアを駆使して、鮮やかにまたスリリングにドラマを描き出していきます。

 オペラの前後には、室内楽コンサートや来日する作曲家を囲むクロストークも配置された立体的な公演(U24チケット、高校生以下無料あり)を開催。また関連企画として、原作の朗読ワークショップ、美術ワークショップなど、多角的に本作を味わうことができる企画も予定されています。

始動3:「子どもと大人の音楽堂」2企画

 「子ども編」は、新シリーズとして、夏休みに子どもたちがめいっぱい音楽と触れ合える企画を進行中! ホールでのコンサートや、モダン建築の傑作と評される音楽堂の建築見学、ワークショップなど、子どもたちが飽きないよう、また大人も楽しめるプログラムを計画中です。「インクルーシブ」をテーマに、外国人住民の方でもお楽しみ頂けるような準備も進めています。ご家族はじめ、ママ友・パパ友のご家族同士、シニアの方々など身近な方とご一緒に音楽堂においでください。

 一方、「大人編」は20代〜の大人に向けた実践型エンタテイメント・デイ。終日、ジャンルを超えた複数の企画が、ホールやホワイエのみならず音楽堂を隅々まで使って同時多発的に繰り広げられます。

プロデュースは小金沢健人・Kenji “Noiz” Nakamuraが担当し、そのコンセプトは「森としての音楽堂」。いくつもの生物と出来事が重なり合って一つの生態系を作り出すように、演者と観客という通常の構図から逸脱するようなアイディアのもと、音楽堂そのものをピクニックします。前川國男の建築が大胆に開かれた場へと変容していく貴重な機会を体感してください。

始動4:「新しい視点」プロジェクト

 「開かれた場」を目指す音楽堂ではさらに、芸術鑑賞の提供という一方向的な活動ではなく、独創的なアイディアに富んだ音楽企画の公募プロジェクトが進行中。今年1年をかけ、公開審査や試演会などを経て、公募モニターからのヒアリングを重ね、アーティストと音楽堂で共に完成版(2022年春以降開催)に練り上げていきます。公演までの経過は逐次お知らせしますので、創作の現場にお立合いください。


継承:音楽堂伝統のクリスマス音楽会

 神奈川県の高校生と県民が合唱で参加する「ヘンデル:メサイア全曲演奏会」は、今年で55回を迎えます。半世紀を超える本シリーズはまさに神奈川県の音楽の歴史そのものといえるでしょう(演奏:神奈川フィルハーモニー管弦楽団)。長年、本シリーズを主導してきた指揮の小泉ひろしは、今回が最後の出演となります。神奈川県が育んだ特別な演奏会で1年を締めくくってください。


神奈川県立音楽堂 2021-2022年ラインナップ

音楽堂ヘリテージ・コンサート 最新情報

音楽堂室内オペラ・プロジェクト

ブルーノ・ジネ「シャルリー~茶色の朝」日本初演(仏語上演・日本語字幕付)

2021年10月30日(土) ・31日(日)  

●子どもと大人の音楽堂

「子ども編」 2021年7月下旬(予定)

「大人編」 2022年3月19日(土)・20日(日) 他

●シリーズ「新しい視点」

5月以降詳細発表

[2022年4月以降のステージに向け、オーディション、ディスカッション、ワークインプログレスなどを開催予定]

●第55回 クリスマス音楽会 

ヘンデル「メサイア」全曲演奏会

2021年12月12日(日) 14:30 


Photo(上から)

アンサンブル・アンテルコンタンポラン ⓒEIC

「シャルリー~茶色の朝」 ©derrière Rideau

みんなで音楽堂をめいっぱい楽しむ(2019年オープンシアターより) ⓒ青柳 聡

2019年オープンシアターより ⓒ青柳 聡

メサイア2019年公演より ⓒ青柳 聡

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