さかえdeつながるアート ティーンズクリエイション

横浜市栄区のアートプロジェクト「さかえdeつながるアート」から派生した「ティーンズクリエイション組織委員会」。
2014年に始まった、中高生世代中心の文化作品展示「ティーンズクリエイション展」を主催しています。
2021年からは、中学生〜20代を対象とした創作舞台の活動も開始。
演出家の指導や地域の大人たちの伴走的なサポートのもとつくりあげ、地域の施設で上演しています。
2025年度は、これまで参加してきた若い世代が運営の中心となり企画が進行。
若者が様々な表現方法を学び、実践する場となっています。

聞き手・文 : 編集部

「さかえdeつながるアート」は、「ヨコハマアートサイト」(横浜市地域文化サポート事業)の一つとして2008年に始まったアートプロジェクト。栄区内の施設や自然豊かな屋外空間、商店街などを舞台に、総合型アートフェスティバルから子どもを対象としたワークショップまで、幅広く地域とアーティストをつなぐ活動を実施してきました。

ティーンエイジャーに向けた活動に力を入れるようになったきっかけは、2012年にヨコハマ創造都市センターで行われた「ポーランドポスター展」から栄区内の美術部の中学生が招待を受け、引率したこと。前代表の大塚宏さんは「栄区の生活文化を生かしながら地域の魅力をつくっていく手がかりとして、アートを大事にしようと考えました。『生活を豊かにするためのアート』をキーワードにしながら、次世代にこれからの地域をどう委ねていくかを模索してきました」と話します。

前代表の大塚宏さん(左)と現在の代表の岩上百合子さん(右)

そうして2014年に始まった「ティーンズクリエイション展」。2024年度は、創作舞台「DeLeTe」とリンクさせ「内なる自分を探す旅 ―見えている自分と本当の自分―」をテーマに文化作品展示、ライヴパフォーマンスを開催。318点もの作品が集まり、創作舞台には14名が参加しました。これまでも脚本やチラシのデザイン、記録写真の一部などは中高生〜20代が担当してきましたが、2025年度からはこれまで大人が担ってきた運営の中心も、有志の若者約10名が行っています。うち3名はこう語ります。

「栄区青少年の活動拠点『フレンズ☆SAKAE』でこのプロジェクトを知り、参加するようになりました。ここは自分が変われる場です。私は元々人前に出るのは得意ではなかったのですが、活動を通して、どんどん楽しくなっていきました。これからも自分の変化を楽しみたいです」(雨宮千佳さん)、「あたたかい大人が多くて、居心地がよい。講師との出会いもあり、プロの俳優を志すようになりました。今年度はワカモノチームの代表をしています」(眞田瑞樹さん)、「カーテンコールの瞬間がやりがいです。運営に関わると自分で進められることも多く、ほかではあまりできない体験だと感じています」(加辺凜南さん)。

雨宮千佳さん(左)、眞田瑞樹さん(中央)、加辺凜南さん(右)

演劇経験がある人もない人も一緒になって一つの舞台をつくりあげるプロセスで、自分の表現ができるようになり、表情が変わっていく。現在の代表の岩上百合子さんはこう話します。「生きづらさを抱えたり、自分を表現する方法を探している子どもたちも地域にはいるので、家族や学校以外の人とつながることが重要。何かできることや好きなことが見つかれば、生きていく力を得る機会にもなると思います」。

現在、「さかえdeつながるアート」は、アートや青少年に関わる活動に思いをもった40名以上のアーティストとつながりがあります。そのなかで、ティーンズクリエイションにも、10数名の人たちが、様々なかたちで関わっています。

「まったく大きな声を出せなかった参加者が、まわりに励まされて、徐々に自信をつけ、声を出していく。人前で喋ったり、台詞を言ったり、それから表現したりということを積み重ねていく姿を見ていると、大きな成長を感じます」

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