「横濱JAZZ PROMENADE」街角ライブ

「横濱JAZZ PROMENADE」は、横浜を基盤として活動する様々な団体の集合体である実行委員会形式で催され、161組ものアマチュア・バンドの演奏ステージを、延べ約250名の市民のボランティアスタッフが運営する、まさに市民による市民のためのジャズのお祭り。2025年のにぎわいをリポートするとともに、これまでの歩みをふりかえります。

取材・文 : 猪上杉子
写真 : 前川俊幸(*を除く)

幸運な161組のアマチュア・ジャズバンドが街角で演奏を繰り広げました

2025年も横浜の街全体がジャズサウンドで満たされるイベント「横濱JAZZ PROMENADE」(通称 : ジャズプロ)が10月11日、12日に行われました(1日目は雨天のため屋外会場は中止)。1993年に始まったこのフェスティバル、最大時は約15万人(2025年は約9万人)もの来場者を迎える、すっかり横浜を代表する大人気イベントに成長し定着しました。

この日のにぎわいをつくりだしていた大きな要素の一つは、開始当初からの企画「街角ライブ」でのアマチュア・バンドの気合いあふれる演奏の数々。14の会場に出演したのは、約400組の応募者のなかから抽選で選ばれた幸運な161組のバンドです。ジャズを愛好する演奏家たちにとっては、この「ジャズプロ」のステージに立つことが大きな目標であり、またその晴れ舞台を応援することを大勢の観客が楽しみにしているのです。

両日「街角ライブ パレード」と称してオープニングパフォーマンスを行ったのは「FUNK UP BRASS BAND」。ダンサーによる先導で観客を巻き込み、練り歩きながらの演奏には大拍手が起きました。1日目の横浜美術館との連動企画「アルゴリズムでおどってみよう!〈パレードパフォーマンス〉」では、《アルゴリズムたいそう》の演奏に合わせて、事前に実施したワークショップ参加者たちもダンスを披露し、大いに盛り上がりました。

「街角ライブ」の各会場の整理などにあたっていたのはお揃いのスタッフパーカーで活動する「横濱ジャズクルー」の面々です。公募制のボランティアスタッフで、1993年には70名でスタートしましたが、2025年は1日あたり約130名(2日間では延べ約250名)がステージを支えました。

2日目の「街角ライブ パレード」は、「FUNK UP BRASS BAND」がグランモール公園 美術の広場を一周しながらパフォーマンスし、最後は横浜美術館の前で演奏。子どもたちも一緒に踊る姿がありました

ジャズ演奏100年を記念して特別企画も発信

そして2025年の「ジャズプロ」には特別企画が設けられていました。当年は、1‌92‌5年7月1日に横浜・伊勢佐木町の芝居小屋・喜樂座で米国からの7人編成のバンドが初めてジャズを演奏してから1‌00年にあたります。その記念に、横浜市民に広く愛されている《横浜市歌》(1909年誕生)をジャズ編曲した《横浜市歌 JAZZPRO 2025 Ver.》を制作し、吹奏楽編成とビッグバンド編成の楽譜を無料公開したのです。

実際、2日間にはあちこちから《横浜市歌 JAZZPRO 2025 Ver.》が聞こえてきました。

2日目に出演した「みなとみらい Super Big Band」は、2‌01‌3年に横浜みなとみらいホールで結成された中高生によるジュニア・ビッグバンドです。「この横濱JAZZ PROMENADEのステージで皆さんの前で演奏するのを楽しみに練習してきました」とのあいさつで始まり、4曲目に演奏された《横浜市歌》では、トランペットやサックスのソロも交じえた独自のアレンジの演奏を披露、盛大な拍手がわき起こりました。

みなとみらい駅直結の商業施設「クイーンズスクエア横浜」のイベントスペースにて、「みなとみらい Super Big Band」と「金沢ジュニア・ジャズ・オーケストラ JAZZ-21」のコラボレーション・ステージ

「ジャズプロ」は街と街の人々に支えられて歩んできました

「ジャズプロ」が初めて開催されたのは1993年のこと。「街全体をステージに」は第1回からの合言葉です。2019年には台風の影響のために開催中止となり、2020年と2021年は新型コロナウイルス感染症蔓延のために配信での開催となるという困難な3年を乗り越えて、33年もの年月を重ねてきました。第1回の総来場者数は2‌万9000人でしたが、過去最高の2014年は15万人を超えました。また、横浜市内の街なかの商業施設や広場などでの演奏も多いことから、街ゆく人にも音楽が聞こえてくるのが大きな魅力として認識されています。規模の点でも街ぐるみというユニークさの点でも、全国的に見ても非常に人気の高いジャズ・フェスティバルの地位を長きにわたって誇っているのです。

「ユニークさ」をもう少し説明すると、それは開始当初から市民とミュージシャンと企業と文化団体が一体となって企画し、運営されてきたこと。主催者は「横濱JAZZ PROMENADE実行委員会」という名の集合体で、公益財団法人 横浜市芸術文化振興財団や横浜JAZZ協会、文化施設、市内のジャズ祭などの団体により構成されています。

こうした市内の様々な立場の団体が一致団結してのプロジェクトは、1993年当時にはまだ珍しく画期的な試みだったといいます。また、横浜を中心とした多くの協賛企業、一般公募で集まった市民ボランティアスタッフ、横浜市内各地域で開催されるジャズフェスティバルのスタッフらが一丸となって、横浜市と協働して支援してきたことが、33年の継続と成功をもたらしたといえそうです。

このフェスティバルの大きな魅力となっている「街角ライブ」への出演を希望する応募者は近年一層増加し、そのパフォーマンス力は年々増し、熱の入った演奏は来街者たちを大いに楽しませています。「運営がしっかりとしているのでいいステージにしてもらえる」「ジャズと横浜の街の景色がぴったりなので楽しめる」「観客の盛り上げ方がうまくて気持ちよく演奏できる」——こうした出演応募者の声が、「市民のための市民によるお祭り」の相乗効果の側面をよく表しています。これからも横浜の地に根づいたこのお祭りは、しっかりと地域に支えられながら続いていくことでしょう。

1994年開催時の様子。横浜市開港記念会館にて、「ジョージ川口ニュー・ビッグ・フォー」の演奏風景
*提供 : 横濱JAZZ PROMENADE実行委員会
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