横浜F・マリノス アンバサダー
波戸康広

決められたルールのなかで戦うからこそ
スポーツでは
笛が鳴ったらノーサイド

主に60歳以上の高齢者が参加するスポーツの祭典・全国健康福祉祭(ねんりんピック)。

「ねんりんピックかながわ2022」では神奈川県が初めて開催地となりました。

元プロサッカー選手で、ねんりんピック広報キャラバン隊を務めた波戸康広さんに、
平和な“争い”ともいえるスポーツの魅力についてお話を聞きました。

聞き手・文 : 編集部 写真 : 加藤 甫

─約1年間、ねんりんピック広報キャラバン隊の活動を通して感じたことを教えてください。

プロ選手には年齢の壁がありますが、競技としてのスポーツに年齢は関係ありません。スポーツは趣味としても楽しめますし、より高みを目指そうという目標や生きがいにもなる。身体を動かすことは健康にも役立ちます。そういったスポーツがもついろいろな魅力をあらためて感じた1年になりました。ねんりんピックには将棋などの競技もあって、80歳以上の方と将棋をさしたこともありました。その場は参加者にとって、負ければ悔しいし、自分のもてる力をぶつける真剣勝負。そして競うだけでなく、競技をとおして交流が生まれ、刺激を与え合う場でもありました。活動を通して感じたテーマは“人生を楽しむ”ことですね。

―元日本代表選手の視点から、サッカーにおける“争い”とはどのようなものでしょうか。

を背負って戦う時は、言葉にならない重圧を感じながらプレーをしますし、11人に選ばれて戦えることに誇りをもって、もちろん日本を絶対に勝たせるんだという思いでピッチに立ちます。ですがスポーツがすばらしいのは、笛が鳴った時はノーサイドでお互いの健闘をたたえ合う。ワールドカップでは国と国が戦いますが、決められたルールがあってそのなかでプレーをします。だからこそ試合が終われば仲良くなれるんです。Jリーグではどのチームにも様々な国籍の選手がいます。F・マリノスでもそれぞれの国の文化を尊重し合いながら、お互いのいいところを見て生活していますね。

—2022年シーズン、F・マリノスは見事リーグ優勝を果たしました。

F・マリノスのサポーターは、苦しい時ほど選手を支えてくれます。4連敗を喫した厳しい時期でも、ブーイングがありませんでした。選手たちもその気持ちに応えようと奮起することができたんです。優勝は、ファン、サポーター、クラブ、そして現場の選手たち、我々メディアで広報活動をするスタッフみんなの気持ちが一つになった証しです。諦めずに戦う選手たちの姿は、見る人の勇気や活力にもなります。スタジアムに、ぜひ一度足を運んでみてください。

2022年シーズン優勝を果たした横浜F・マリノスの選手たち
©1992 Y.MARINOS

波戸 康広(はと・やすひろ)


1995年から2011年までプロサッカー選手として活躍。
横浜フリューゲルス、横浜F・マリノス、柏レイソル、大宮アルディージャでプレー。
元日本代表選手。
2014年にJリーグ功労選手賞を受賞。
現在は横浜市、横須賀市、大和市をホームタウンとする
プロサッカーチーム「横浜F・マリノス」のアンバサダーとして精力的に活動中。
横浜F・マリノス 公式サイト

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