2021年度のキッズプログラムをふりかえる

子どもたちに、芸術や美術を身近に、楽しく感じてもらいたいという願いで、各地の劇場・ホールや美術館、
団体が子どものための「キッズプログラム」を開催しています。神奈川県下、そして全国の取り組みを紹介します。

文:浦島茂世(フリーライター)

困難の中開催されたキッズプログラム

2020年初頭から続く新型コロナの流行とその対策により、全国各地の文化施設は、多くの事業が中止や延期、規模縮小を余儀なくされました。例年は夏休み時期に開催されるキッズプログラムも同様です。けれども、マスクや消毒、換気など感染対策を十分に施し、好評のうちに終了したイベントも少なくありません。マナーを守りながらも、めいっぱい楽しむ子どもたちの姿が各会場で見られました。

神奈川芸術文化財団の取り組み

県民ホールでは、あらゆる人にホールを身近に感じてもらうイベント『オープンシアター2021』を5月に開催。コンサートや展覧会、ワークショップをたっぷり楽しめる一日になりました。また、子どもも楽しめるオペラ『ヘンゼルとグレーテル』を、海老名と横須賀で上演しています。は、ダンス公演『ククノチテクテクマナツノボウケン』を開催。クライマックスでは観客もダンスに参加し、表現の楽しさに触れることができました。音楽堂では、『みんなー!たのしい音楽始めるよ、あっつまれー!』を開催、観客が演奏に参加することで会場全体が一体となりました。

神奈川県下注目の取り組み

キッズプログラムは神奈川県下で積極的に行われています。2021年8月から月まで開催されていた日本最大級のダンスフェスティバル「DanceDanceDance@YOKOHAMA2021」では、横浜市の小中学校全国各地に見られる、枠組みを超えた取り組みなどにプロのアーティストが出向く「スクール・オブ・ダンス」を開講。たくさんの子どもたちがプロの表現に触れ、自らも体を動かしました。平塚市美術館(平塚市)では乳幼児向けの屋外ワークショップ「キッズアート・ピクニック」を年間を通して開催。子どもたちは芝生の上でのびのびとアートを体験しています。また、現在は大規模改修のため長期休館中の横浜美術館(横浜市)は、学芸員らが横浜市内の文化施設などを訪れ、レクチャーや体験講座を行っています。

全国各地に見られる、枠組みを超えた取り組み

全国では、従来の枠組みにとらわれず、多様な価値観に触れる試みも行われています。月に正式開館した八戸市美術館(青森県八戸市)では、小中高生が同じ場所で、同じテーマ・素材で作品をつくり、鑑賞する「小中高同じテーマで作品づくりプロジェクト」など、学校や年齢の壁を越えた芸術活動の試みが開館前から継続して行われています。ロームシアター京都(京都府京都市)の夏休みイベント「プレイシアターinSummer2021」では、プロ俳優の芝居に対して子どもたちが「演出」を行うワークショップや、ドラァグクイーンによる絵本の読み聞かせイベントなどが行われました。

キッズプログラムは年を追うごとに進化しています。全国各地で開催されるキッズプログラムの動きと発展がとても楽しみです。

写真:大洞博靖

KAAT キッズ・プログラム2021
『ククノチ テクテクマナツノ ボウケン』

振付家の北村明子と現代美術家の大小島真木による新作ダンス公演。夏休み、とある公園で木の神「ククノチ」に出会った子どもたちが、冒険のなかで自然や祖先との関わりを学んでいく物語。開演前には「お面づくり体験」や、「5分間ダンスレッスン」を実 施 。 公演中につくったお面をかぶって、観客と演者が一緒に踊る時間は非常に盛り上がりました。


会場 | KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
日程 | 2021年7月12日~19日
主催 | KAAT 神奈川芸術劇場
公式サイト

写真:青柳 聡

子どもと大人の音楽堂〈子ども編〉 『みんなー!たのしい音楽始めるよ、あっつまれー!』

音楽家の大友良英が率いるスペシャルビッグバンドによるコンサート。観客は音の出るものを持参し、ビッグバンドの演奏に合わせて音を鳴らしたり、指揮者を体験したり、時には盆踊りを踊ったりと体全体で音楽を楽しみました。演奏中も出入り自由、観客席を真っ暗にはせず、コンサートが初めての子どもたちも快適に過ごせるような環境づくりも行いました。


会場 | 神奈川県立音楽堂
日程 | 2021年7月30日
主催 | 神奈川県立音楽堂
公式サイト

海老名公演より 写真:岩田えり

みんなでたのしむオペラ
『ヘンゼルとグレーテル』

ドイツのメルヘン・オペラ『ヘンゼルとグレーテル』の魅力を凝縮した60分のスペシャル版。本作品は2018年に神奈川県民ホールで生まれ、一昨年に引き続き、県内を巡回公演しました。やさしいママと怖い魔女の一人二役を演じるのはソプラニスタ(男性ソプラノ歌手)として知られる岡本知高。彼を始め4人の歌手の迫力ある歌声と、軽やかなピアノ演奏、そして日本語オリジナル台本によって、はじめてオペラ鑑賞をする方でも非常にわかりやすい内容となりました。


会場 | 海老名市文化会館、ヨコスカ・ベイサイド・ポケット
日程 | 2021年7月17日(海老名)、7月24日(横須賀)
主催 | 神奈川県民ホール
海老名公演 公式サイト
横須賀公演 公式サイト

あーすぷらざでの会場風景

第21回カナガワビエンナーレ
国際児童画展

1981年から隔年で開催されている、児童画の展覧会です。21回目となる今回は世界58の国と地域及び神奈川県内と全国の外国人学校から、合計8,062点の応募があり、520点の作品が入賞しました。ちなみに、ビエンナーレとはイタリア語で2年に1度行われる美術展覧会を意味します。入賞者の作品は、展覧会だけでなくウェブサイトからも閲覧できるようになっており、ビエンナーレ応募者も現地にいながら閲覧することができます。


会場 | 神奈川県内11会場を巡回中
日程 | 2021年9月~2022年3月
主催 | 神奈川県、神奈川県立地球市民かながわプラザ
公式サイト

狂言『二人大名』(大蔵流) 写真:尾形美砂子

普及公演「横浜狂言堂」
〈こども狂言堂〉

横浜能楽堂で夏休みの時期に毎年開催されている子どものための狂言公演です。演目は、二人の大名が、鶏や犬、起き上がり小法師のものまねをさせられる『二人大名』と柿を盗んだ山伏が動物のものまねで何とかごまかそうとする『柿山伏』。2曲を鑑賞後、人間国宝として知られる狂言方の山本東次郎が狂言の面白さをわかりやすく解説しました。


会場 | 横浜能楽堂
日程 | 2021年8月1日
主催 | 横浜能楽堂(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
公式サイト

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